パートナー(愛犬)が立ち上がるのが難しくなったり病気になったりすると、介護が必要になります。自力で食べられなくなることも多く、食事の介助(サポート)を併せて考える必要があります。ここでは、シニア犬の食事介助の基本と、具体的な方法についてご紹介します。
食事介助の基本
食べるときの姿勢は大切です
シニアのパートナーは飲み込む力が弱くなっています。食べたものが胃にきちんと送られるように、食べるときの姿勢は大切です。食器を台の上に置いて、頭の位置を高めにしてあげると飲み込みやすくなります。この姿勢だと、前肢や首への負担も減らせます。
柔らかく消化の良い食事を与えましょう
シニアのパートナーは、噛む力・消化する力が弱くなっています。ドライフードはぬるま湯でふやかすと食べやすくなりますし、消化も良くなります。コトコト煮たレトルトフードや缶詰を利用してもいいでしょう。
※ひと肌程度のぬるま湯をかけてしばらく置きます。熱湯はフードの栄養価を損なう恐れがあるので避けます。
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水分を摂らせましょう
シニアのパートナーは、のどの乾きを感じにくくなっています。また水飲み場まで行くのを億劫がることも。脱水させないために、パートナー任せにせずに積極的に水分を摂らせましょう。水分は食事を胃に流し込むのを助け、口に残った食べカスをきれいにするのにも役立ちます。スープやミルク、犬猫用ハイポトニック飲料などを利用してもいいですね。
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注目!
シニアになると若い時より免疫が低下し、歯周病になりやすくなります。できれば毎食後、歯ブラシやガーゼで口の中をきれいにし、口腔環境を衛生的に保ちましょう。
食事介助の具体的な方法
寝たきりのパートナーの場合
クッションやタオルなどで体を支えて、上半身を起こして頭を高くした姿勢をとらせます。寝かせたままにして食べさせてはいけません。シニアのパートナーは飲み込む力が弱くなっているため、食べ物が食道に詰まることもあります。柔らかいフードを小さなお団子状にして、スプーンで口に入れてあげます。お団子は舌の上(口の奥の方)に入れてあげると飲み込みやすいです。 ゴクリとしっかりと飲み込めているか確認しながら、少しずつ与えましょう。フセができるのであれば、食べやすいように口元まで食器をもっていってあげましょう。
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食べたがらないパートナーの場合
クッションやタオルなどで体を支えて、上半身を起こして頭を高くした姿勢をとらせます。寝かせたままにして食べさせてはいけません。シニアのパートナーは飲み込む力が弱くなっているため、食べ物が食道に詰まることもあります。柔らかいフードを小さなお団子状にして、スプーンで口に入れてあげます。お団子は舌の上(口の奥の方)に入れてあげると飲み込みやすいです。
ゴクリとしっかりと飲み込めているか確認しながら、少しずつ与えましょう。フセができるのであれば、食べやすいように口元まで食器をもっていってあげましょう。
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その他厳選
はちみつ空容器
100円ショップでも購入できます。
流動食におすすめの商品
水またはぬるま湯で溶いて、NIPROシリンジに入れて与えることができます。 いずれもパウダー状の総合栄養食です。
商品名 | カロリー |
---|---|
ミルクエイド 母乳と同じ栄養素を目指したミルク |
503kcal/100g |
レバエイドプラス 肝臓や腎臓の健康をサポートする食事(甘いミルクのような香り) |
321kcal/100g |
ハートエイドプラス 心臓や循環器の健康をサポートする(甘いミルクのような香り) |
300kcal/100g |
シンプレックス チキン ふわふわ食感のやさしいレトルトフード(チキン以外にもホース、ポークの3味) |
103kcal/100g |
※ドライフードをペースト状(水分多めにふやかしてよく混ぜる)にしたものをシリンジで与えることも可能です。 少量しか食べられない場合は栄養価の高いパピー用フードもおすすめです。
流動食の作り方
- ドライフードはひと肌くらいのお湯にひたして柔らかくします。手作り食材は適切な大きさに切っておきます。
- ミキサーに、フードもしくは食材と、少量のぬるま湯を入れ、滑らかにします。この時、つぶつぶが多く残っているとシリンジの口に詰まってしまいます。
-
与えやすいように、ぬるま湯を足して硬さを調整します。
※あまりに水分が多いと与える量が大量になってしまい、パートナーに負担がかかります。水分が少なすぎてもうまく与えられないので、パートナーの様子をみながら調整してください。
-
シリンジ(針のない注射器)やハチミツの空容器に流動食を入れます。
※細かく粉砕(茶葉を粉にするくらい)できるミキサーを使うと、シリンジの先に詰まりにくくなります。
流動食の与え方
-
上半身を起こして、頭を高くした姿勢をとらせます。パートナーを抱っこしたりクッションに寄りかからせたりして、少しでも頭を高くして与えます。顎だけを上に向けると気管に入りやすいので注意してください。
※顎を上に向けながら食べさせたり飲ませたりするのは危険です!
- 流動食は口からこぼれやすいので、タオルやペットシーツを口元や前胸に添えます。
小型犬であれば、人の赤ちゃん用の食事エプロンも便利です。 - ちゃんと飲み込めていないことがあるので、ときどき少し水を飲ませます。
- 食べ終わったら、水で口を湿らせて口の中をガーゼできれいにします。口の周りを拭きます。
- 20~30分ほど姿勢を維持させて、様子をみます。
※流動食を与える場合は、1日の量を数回に分けて与えてください。
※パートナーの負担を少なくするよう、短い時間で効率よく与えましょう。
※パートナーがうまく飲み込めずにむせたり嘔吐したりするようであれば、無理はせずにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
食べることは元気を保つために最も大切なことです。時にはオーナー様とパートナーが、共に頑張らなくてはならないこともあります。お互いの信頼関係がしっかり築けていれば、きっと乗り越えられるでしょう。
何か心配なことや助けが必要なことがありましたら、お気軽にシニアカウンセラーまでご連絡ください。
この記事を書いた人
伊東 希(いとう のぞみ)
獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー
1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。大学では獣医病理学の研究室に所属し、病気の原因や腫瘍、心臓疾患の研究を行う。卒業後、臨床獣医師として動物病院に勤務していたが、犬と猫の病気時における食事の大切さを痛感し、某フードメーカーへ転職。そこで栄養学を学び、たくさんのオーナー様やスペシャリストへの相談を行う中、食事や栄養に対してより柔軟な考えも必要であることに気づき、縁あってGREEN DOG & CATへ。